正社員にこだわらない!派遣と副業で自由に生きる50代のキャリア再構築

1. はじめに

サラリーマンとして長年働いてきた私も、40代後半に差し掛かる頃、仕事に対する不安や将来のことを強く感じ始めました。若い頃は、がむしゃらに働いていればいつか報われるだろう、そんな漠然とした期待を持っていました。しかし、現実はそう甘くはなく、出世競争にも乗り切れず、後輩からのプレッシャーが増す中で、仕事に対するモチベーションは次第に低下していきました。

特に、中途採用として30代で入社した私にとっては、会社の中でプロパー社員(新卒で入社し、長く勤務している社員)に対して感じる距離感が常にありました。彼らと比べると、私が積み立ててきた退職金も少ないし、会社内での地位を築くことにも遅れを感じていました。自分が頑張っても、プロパー社員のように自然に昇進できるわけではない。そうした現実に直面する中で、「このまま定年まで続けていくべきなのか?」という疑問が頭をよぎるようになったのです。

さらに、私自身の性格も影響していました。真面目に仕事に取り組むあまり、笑顔で人に接するのが得意ではなく、周囲の人たちには少し厳しい印象を与えていたかもしれません。会社内での評価が思うように上がらない中で、後輩や若い社員たちが私に対して気を使い、時には同情されているように感じることもありました。それが耐えがたく、次第に会社での居心地が悪くなっていったのです。

このような状況下で、「果たして私はこのまま会社に居続けて良いのか?」という疑問が大きくなっていきました。定年まで細々とやっていくのか、それとも別の生き方を模索するべきなのか。迷いに迷う日々が続きましたが、最終的に会社に依存しない生き方を選ぶという決断をすることになるまで、長い時間をかけて心の整理をする必要がありました。

2. 会社に居続けるか、辞めるか迷った日々

40代後半になり、会社での立場や自分の将来に対する不安が日に日に強まる中、私は常に「会社にこのまま居続けるべきなのか?」という葛藤を抱えていました。出世競争から外れ、昇進の見込みがない現実を受け入れるのは簡単なことではありませんでした。プロパー社員であれば、年次が上がるにつれて自然と管理職のポジションが見えてきますが、私はそのレールには乗っていませんでした。

さらに、後輩や若手社員たちとの関係も、私にとって大きなストレスの一因となっていました。彼らは次々と実力を発揮し、会社内での評価も上がっていく一方で、私が彼らに何かを教えたり指導したりする立場にいるにもかかわらず、年齢やキャリアの面で微妙なギャップがありました。彼らの目には、出世もせず、上層部からも冷遇されている私の姿がどのように映っているのか、想像するだけで気持ちが沈むことがありました。

特に苦しかったのは、若手社員が私に対して気を使い始めたことです。最初は丁寧に接してくれているだけだと思っていましたが、次第にそれが同情や遠慮であることに気づくと、胸が締め付けられるような気持ちになりました。彼らの視線や言動が、私の現状を反映しているようで、自尊心が傷つく瞬間が増えていったのです。

また、上層部の視線も変わってきました。かつては私も、会社にとって有望な人材の一人だと思われていたはずでしたが、今では扱いにくい存在になってしまったと感じることが多くなりました。上司たちが私の意見に耳を傾けなくなり、私が重要なプロジェクトから外されることも増えていきました。そのたびに、会社の中での自分の立ち位置がどんどん狭くなっていくのを感じていました。

このような負の連鎖が続く中で、会社に対する居心地の悪さが増していきました。それでも、「退職」という選択肢にすぐに踏み切れるほどの自信もなく、迷いは続きました。定年までこのまま耐え忍んで働き続けるのか、あるいは何か別の道を模索するのか。どちらを選んでも不安は拭えず、数年にわたってその決断を先延ばしにしていました。

48歳という年齢も、この葛藤をさらに深める要因となっていました。転職を考えるには少し遅すぎるかもしれない、しかしこのまま定年まで勤めることにも未来が見えない。その板挟みの中で、私は毎日悩み続けました。

3. 48歳での転職の難しさ

会社を辞めたいという思いが強まる一方で、転職という選択肢を真剣に考え始めたのは48歳のときでした。しかし、その年齢での転職がどれほど難しいかを、現実に直面するまでは理解していませんでした。キャリアの長さや経験があることは自信につながるはずでしたが、実際に転職市場に足を踏み入れると、その自信はすぐに打ち砕かれることになります。

まず最初に転職エージェントに相談しました。私の経験やスキルを伝え、次のステップについてアドバイスを求めましたが、返ってきた言葉は私が予想していたものとは異なりました。「年齢的に、この業界では難しいかもしれません」と、どのエージェントからも共通して言われたのです。彼らが紹介してくれる求人は、私が望んでいたレベルのものではなく、これまでの経験を十分に活かせるようなポジションでもありませんでした。

私はこれまで、真面目に仕事をこなしてきた自負がありました。業界での経験も十分積んできたつもりでしたし、一定のスキルや知識も持っているはずだと信じていました。しかし、エージェントとの面談を通じて、それが転職市場ではそれほど評価されない現実に気づかされました。中途採用であれば即戦力が求められることは理解していましたが、48歳という年齢がここまで大きな壁になるとは、正直想像していませんでした。

また、面接でも年齢に関する質問が多くありました。「なぜこのタイミングで転職を?」と聞かれることがほとんどで、長年一つの会社に勤めてきたことがむしろマイナスに作用しているのではないかと感じる瞬間もありました。さらに、経験が豊富であるがゆえに「柔軟性に欠けるのではないか?」と暗に言われることもあり、これまでのキャリアが重荷となっているように感じました。

転職エージェントとの面談を重ねる中で、現実的に自分の市場価値を冷静に見つめ直すことになりました。「これまでの経験やスキルを評価してもらえる気がしない」という思いが強まり、次第に転職活動への意欲も薄れていきました。結局、退職の道を選ぶにしても、年齢を重ねた今の私にとっては、再就職がそれほど簡単ではないという現実を受け入れる必要がありました。

転職活動で得たもう一つの教訓は、「世の中には自分の実績を見てもらえない限り、評価されない」ということでした。どんなに頑張ってきたとしても、履歴書や面接だけで全てを伝えるのは不可能です。これは、私にとって大きな壁でした。実際の仕事を見てもらえない限り、その人の真の価値は理解されないのだと痛感しました。

転職エージェントとのやりとりを経て、私は次第に「会社に依存しない生き方」を考えるようになりました。転職活動を続けることへの希望が薄れる一方で、自分で新たな道を切り開くしかない、という結論に近づいていったのです。

4. 「会社に依存しない生き方」を決断するまで

転職活動を通して、自分の年齢やこれまでのキャリアが思うように評価されない現実を受け入れた私は、次第に「このまま会社に依存していていいのか?」という疑問がさらに強くなっていきました。48歳という年齢で、これまで築き上げてきたキャリアが十分に活かせないというなら、別の道を探さなければならないと考え始めたのです。

転職エージェントとのやりとりを重ねる中で感じたのは、「今後も自分の人生を会社に委ね続けることへの不安」でした。私はすでに出世競争から外れており、定年まで会社で細々と働き続けることはできるかもしれませんが、それでは自分の将来に対する希望ややりがいが見つからないということが明確になっていました。むしろ、会社に残ることで自分の心がさらに消耗していくのではないか、そんな恐れさえ抱いていました。

一方で、私にとって「会社を辞める」という選択肢は大きな決断でした。家庭があり、安定した収入を失うことへの不安はもちろん、派遣社員として働くことや、フリーランスや副業で収入を得ることが果たして現実的なのかという不安もありました。それでも、毎日同じ場所で変わらない日々を送ることへの違和感と、何か新しいことに挑戦したいという思いが勝っていたのです。

こうして私は、「会社に依存しない生き方」を決断しました。それは一種の「DIYの人生」でした。何かに頼るのではなく、自分で自分の人生を作り直す、そんな覚悟を持つことができたのです。

まず最初に考えたのは、収入源の多様化でした。会社に依存せずに生きるためには、当然ながら収入が必要です。しかし、今までと同じように一つの会社で安定した収入を得ることが難しいことは、転職活動を通して痛感していました。そこで私は、派遣社員としての仕事をしながら、複数の収入源を確保するという戦略に落ち着きました。

派遣社員としての働き方は、以前の正社員生活とは異なり、時間的な自由が得られる一方で、安定感には欠けます。しかし、その自由こそが私にとっての新しいチャンスでもありました。例えば、空いた時間を使って副業や趣味を活かしたビジネスを試すことができるのです。いくつかの収入源を持つことで、会社に依存せずに自立した生活を送ることができるのではないかと考えました。

また、この選択に至ったもう一つの大きな理由は、将来への希望を持ちたかったからです。たとえ不安定な状況であったとしても、「明日はきっと良くなる」と信じて生きていきたいという思いが強くなっていました。毎日、変わらない仕事を続け、将来に希望を持てない生活よりも、不安定であっても何か新しいことに挑戦し続ける方が、私の心にはずっと良い影響を与えてくれると感じたのです。

こうして、私は会社を辞め、新しい人生を自分で作り上げていくという決断をしました。安定した収入やキャリアを手放すことに対する不安はありましたが、それ以上に「自分の人生を自分で切り開く」という強い意志が私を突き動かしていたのです。

5. 退職後の2年間で得たことと感じたこと

会社を辞めてからの2年間、私は全く違う生活に突入しました。派遣社員として働きつつ、eBayでの輸出ビジネスに挑戦し、さらに勉強の一環として法人を設立してみるなど、これまでの会社員生活では考えられなかった新しい道を模索してきました。しかし、その全てが順調に進んだわけではなく、今でも試行錯誤の日々が続いています。

まず、eBayを使った輸出ビジネスに取り組んだことは、私にとって非常に新鮮な挑戦でした。世界中のお客様を相手に商売をするという経験は、以前の仕事とはまったく異なるスキルが求められることを痛感しました。商品の仕入れ、販売価格の設定、海外発送の手続きなど、どれも初めてのことであり、思った以上に時間がかかり、利益を上げるにはまだ道のりが長いと感じています。それでも、この取り組みを通じて、少しずつですが自分なりに「商売」の感覚を身につけ始めていると感じています。

また、法人を設立したのも大きな決断の一つでした。ビジネスに本気で取り組むための一環として、法人化は避けて通れないと思いましたが、実際に法人を運営していく中で、税務や会計、法的な手続きなど、学ぶことは山ほどあります。会社員時代には全く経験のなかった領域なので、毎日が学習の日々です。法人を作ったからといってすぐに大きな成果が出るわけではありませんが、この過程で得た知識や経験は、将来必ず自分の武器になると信じています。

不安定な生活が続く中で、一番感じているのは「自分で全てを決められる自由」と「それに伴う責任の重さ」です。会社員時代は、決められた仕事をこなしていれば安定した収入が得られましたが、今は自分の行動一つ一つが直接生活に影響を与えます。例えば、eBayでのビジネスでは、どの商品を仕入れるか、どういった価格戦略を取るか、全て自分で考え、決断しなければなりません。うまくいけば喜びは大きいですが、失敗すればその分自分に返ってくるリスクも大きいです。

そんな中でも、会社員時代には得られなかった新しい発見や、自己成長を感じる瞬間が増えています。失敗しても、それを改善するために次に何をすべきかを考えることで、少しずつ前進している実感があります。たとえ安定とは程遠い毎日でも、自分の手で未来を切り開いているという感覚は、精神的には非常にポジティブな影響を与えてくれています。

「不安定でも希望を持って進んでいく」という考えが、私の生活にとって大切な指針になっています。会社員時代は、安定を最優先して生きていましたが、今は不安定な状況の中でも何か新しいことに挑戦し続けることで、未来に対する希望を見出しています。経済的には厳しい場面も多いですが、その中でも自分自身の成長や新たなスキルの習得を楽しめるようになったのは、大きな変化です。

退職後の2年間を振り返ると、これまでとは全く異なる経験ばかりで、自分がまだまだ学ぶべきことが多いことを痛感しています。しかし、それこそが私にとっての新しい生き方であり、退職という決断は決して間違いではなかったと感じています。自分で選んだ道だからこそ、毎日が学びの連続であり、それが私を前向きにさせているのです。

6. 終わりに

会社員生活から退職し、新しい人生に踏み出してから2年が経ちました。この2年間は、これまでの人生とは全く異なる試行錯誤の連続でしたが、振り返ってみると、決して無駄な時間ではなかったと強く感じています。会社員時代には想像もできなかった挑戦を通して、自己成長や新しい視点を得ることができました。

もちろん、派遣社員としての収入やeBayでの輸出ビジネス、副業での収入は、決して安定したものではありません。毎月の収入に波があり、経済的には厳しい状況も少なくありません。しかし、その一方で、毎日自分の力で何かを成し遂げるという実感があり、挑戦する楽しさや、自分で道を切り開いていくという希望を感じています。法人を設立し、ビジネスを学びながら進めていく中で、常に「次はどうするか?」という課題に直面していますが、それを解決する過程で自分の成長を実感できるのは、大きな喜びです。

安定した会社員の道を選ばず、あえて不安定な道に飛び込んだことにはリスクもありましたが、精神的には今の方がはるかに充実しています。会社に依存せず、自分の力で未来を築いていくという生き方は、時に不安になることもありますが、その不安があるからこそ、次のステップに向かって前進しようという強い意志が湧いてきます。

この2年間の経験を通じて、私が感じたのは「自分の人生を自分で作り上げることの大切さ」です。会社に頼る生き方も一つの選択肢ですが、私は自分の手で未来を開拓する道を選びました。そして、その決断は後悔していません。同じように、今後のキャリアや人生に悩んでいる人たちに伝えたいのは、年齢や状況に関わらず、挑戦することには常に意味があるということです。どんな小さな一歩でも、自分で踏み出すことで道は開けていくものだと実感しています。

私はまだ道半ばです。ビジネスも、生活も、学びも、全てが発展途上であり、まだまだ完璧な状態ではありません。しかし、その不完全さこそが未来に対する希望を感じさせてくれるのです。これからも新しい挑戦を続け、試行錯誤しながら自分なりの生き方をDIYしていこうと思います。そして、同じように新しい人生を模索している方々にも、一歩踏み出す勇気を持ってほしいと心から願っています。

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